2019、7、21      聖霊降臨節第7主日礼拝      牧師 川﨑善三

「ナインという町」                      ルカ7:11~23

この町は、聖書に一度だけ出てきます。しかし、一度聞いたら忘れられない町として、

私たちの記憶にとどまる不思議な町です。この町はナザレの東南にある町で、ガリラヤ

からユダヤに、イエスさまが巡回している途中で訪れた町です。イエスさまは、弟子た

ちと群衆と共に町々を訪ねておられました。ナインという町に近づかれたとき、町の中

から葬儀の行列が出てきました。その町のやもめのひとりむすこが死んで、葬りに出す

ところと、イエスさまの一行とがばったり出会ったのです。最も悲惨な状況、みんなか

ら同情される境遇に、このやもめはありました。夫に先立たれ、頼みとするひとりむす

こも死んでしまうという中で、彼女は将来への希望など何ひとつない状況に追いやられ

たのです。町の人々は、このやもめに同情し、できるかぎりのことをしてあげたいと思

って、大勢の人がこのやもめに付き添っていました。そんな葬儀の列が町から出てきた

ところに、イエスさまは出会ったのです。イエスさまはこの婦人を見て、そばに寄り添

い、深い同情を寄せられて「泣かないでいなさい」と言われました。そして、棺に近寄

って手をかけられ、「若者よ、さあ、起きなさい」と言われました。すると、死人が起き

あがって、物を言い出しました。イエスさまは若者をその母にお渡しになりました。母

親の驚きと喜びについては、聖書は何も語っていませんが、言葉で言い表されないよう

な喜びと感謝がその場に起こりました。死と滅びに向かう行列がイエスさまの行列に出

会って、命と喜びの行列に変わった瞬間でした。人々は「大預言者がわたしたちの間に

現れた」と言い、「神はその民を顧みてくださった」と言って、神をほめたたえました。

イエスさまは死人に向かって「さあ、起きなさい」と言われたように、よみがえりの日

に私たちにも声をかけて、私たちをよみがえらせてくださいます。会堂司ヤイロの娘が

いきかえったこと、ラザロのよみがえり、そして、この事件と、イエスさまはその生涯

において三度、このような大いなるしるしを現し、ご自身が救い主であることを証しさ

れたのです。

それから、獄中にあるヨハネは弟子のふたりを選んで、イエスさまの所に送り、尋ねま

した「『きたるべきかたは』はあなたなのですか。それとももほかにだれかを待つべきで

しょうか」ヨハネの持っているキリストのイメージは、イスラエルをローマから解放し

て下さるお方、ヨシュアのような勇猛果敢なお方という思いがありました。ところが、

耳にするイエスさまのうわさは、そうではなかったのです。イエスさまは言われました

「行って、あなたがたが見聞きしたことを、ヨハネに報告しなさい。盲人は見え、足な

えは歩き、重い皮膚病の人はきよくされ、耳しいは聞こえ、死人は生きかえり、貧しい

人々は福音を聞かされている」イエスさまは、旧約聖書の言葉を用いて、ご自分が救い

主があることをお示しになりました。貧しい人々は福音を聞いて、神の国に入っている。

今、私たちはこの恵みを受けていることを感謝いたしましょう。