2021、6、13     聖霊降臨節第4主日礼拝      牧師 川﨑善三

 「敵を愛する天の父」                    マタイ5:38~48

 

 イエス・キリストの言葉は、神のことばです。イエスさまは、旧約聖書に定められた戒

めを新しくしようとしておられました。旧約聖書に「目には目を、歯には歯を」という戒

めが定められていました。この戒めは、ハルラビ法典(世界最古の法律集)にも出てくる戒め

です。「ほかの害がある時は、命に命、目には目、歯には歯、手には手、足には足をもって

償わなければならない」(出エジプト21:23、24)この戒めは、加害者に要求される償い

が、過度にならないようにするためでした。目を傷つけたならば、目をもって償いなさい。

打ち傷には、打ち傷をもって償いなさいと言うものでした。非常に人道的なものであると

言えます。古代社会において、このような戒めが定められていたと言うことは驚異的な教

えであったと言うことができます。しかし、この戒めは被害を受けたものは、その被害に

応じて復讐してもよいというふうに適用することができたわけです。イエスさまは、そう

いう事をしてはならないと言われたのです。「悪人に手向かうな。もし、だれかがあなたの

右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい」目には目を、歯には歯を、という戒

めによれば、右の頬を打たれたら、同じく右の頬を打ち返してもよいと言うことになりま

す。そうすれば、争いは続いていきます。イエスさまは、そんな時はもうひとつの頬を打

って下さいと言いなさいと教えられたのです。

続いて、イエスさまは新しい戒めを教えようとされました。「隣り人を愛し、敵を憎め」

と言われる教えです。この言葉を、旧約聖書に見出すことはできません。しかし、この

内容と同じ考え方が旧約聖書の中にあらわされています。隣り人、すなわちユダヤ人で

ある同胞を愛して、異邦人は憎めというものでした。

 イエスさまは、それに対して、そうではない、神はすべての人を愛し、すべての人に対

して大きな祝福を与えようとしておられると言われたのです。「敵を愛し、迫害する者のた

めに祈れ。こうして、天にいますあなたがたの父の子となるためである」子どもは、その

親に似るものです。あなたがたは、天の父なる神の子となるのですから、父と同じように

隣り人だけでなく、あなたの敵を愛し、その人のために祈りなさいとイエスさまは言われ

たのです。そして、自然界の中にあらわされている、神の愛について語られました。

「天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない

者にも、雨を降らして下さるからである」自然界における恵みは、善人にも悪人にも同じ

ように注がれるものであると、イエスさまは言われました。父なる神は、敵を愛してくだ

さる神です。「敵をも愛する神」ではなく、「敵を愛して下さる神」です。

わたしたちは、正しい者ではありません。神に敵するものであったのです。「わたしたち

が敵であった時でさえ、」(ローマ5:9)とあります。わたしたちは、神の敵となり、神の御

心に従わず、自分勝手に生きていたのです。神に敵する者のために、イエスさまはご自

身の命をもって、わたしたちを救って下さったのです。「敵を愛する天の父」これこそ、

完全な愛が、わたしたちに示されているのです。感謝です。