「2022、10、16      聖霊降臨節第16主日礼拝    牧師 川﨑善三

「天の雲に乗って」                                        マルコ14:55~65


ゲッセマネの園で捕縛されたイエスさまは、大祭司の家に連れていかれました。早速、大祭司は、議会を招集しました。祭司長、長老、律法学者たちによって構成される七十人の議員が集められたのです。ニコデモとアリマタヤのヨセフも、その議員のひとりでしたが、どうやら、彼らには招集の知らせは届かなかったようです。

イエスさまの裁判は、最初から結論が出ていました。大祭司と議員全員が、イエスさまを死刑にするために多くの人を集めていましたが、その全員がイエスさまに対する偽証をするようにと、あらかじめ言いふくめられている人々でした。「多くの者がイエスに対して偽証を立てたが、その証言がなかった」とあるとおり、どれも真実ではないと言う判定に至りました。人を死刑にするためには、ふたり以上の証言が一致しなければそれが真実であるとは認められなかったのです。「ふたりの証人または三人の証人によって殺すべきものを殺さなければならない。ただ、ひとりの証人の証言によって殺してはならない」(申命記17:6)イエスさまに対する証言は、祭司長たちによって捏造されたものであり、ふたりの証人の証言が一致することはなかったのです。最後に、ある人々が立ちあがり、イエスさまに対して偽証を立てて言いました「わたしたちはこの人が『わたしは手で造ったこの神殿を打ちこわし、三日の後に手で造られない別の神殿を建てるのだ』と言うのを聞きました」(マルコ14:58)この証言も、神殿が破壊されていないのですから、イエスさまを死刑にすることができません。そこで、大祭司みずからが、イエスさまに尋問して言いました「あなたは何も答えないのか。これらの人々があなたに対して不利な証言をしているのに、どうなのか」しかし、イエスさまは黙っていて、何もお答えになりませんでした。大祭司は再び、イエスさまに問いただして言いました「あなたは、ほむべき者の子、キリストであるか」大祭司はついに、イエスさまがキリストであると言う証言を、イエスさまの口から証言するように仕向けました。ここに至って、イエスさまはメシヤであることを隠すことができなくなりました。

「わたしがそれである。あなたがたは人の子が力ある者の右に座し、天の雲に乗って来るのを見るであろう」イエスさまは、キリストであると証言されると共に、再臨される時のことについて語られました。天の雲に乗ってお越しになるということは、やがて、現れる神の国の王として、イエスさまが来られると言うことです。わたしたちの国はこの世のものではありません。イエスさまが治める国、それがわたしたちの国です。