2022、11、20      降誕前第5主日礼拝       牧師 川﨑善三

「三本の十字架」                     ルカ23:26~43

 イエスさまが十字架におかかりになったとき、ふたりの犯罪人が救われました。そのひとりが、バラバという人でした。バラバは都で暴動を起し、人を殺した罪によって獄に入れられていました。ローマ総督ピラトは、イエスさまを調べて何の罪も認められないのでゆるそうとしていました。ピラトは、イエスを死刑にしてほしいと訴えてきた祭司長たち、役人と民衆を呼び集めて言いました「おまえたちは、この人を民衆を惑わすものとして、わたしのところに連れてきたので、おまえたちの面前でしらべたが、訴え出ているような罪は、この人に少しもみとめられなかった。ガリラヤの領主ヘロデもまたみとめなかった。ヘロデはこの人をわたしのところに送りかえしてきた。この人はなんら死にあたるようなことはしていない。だから、彼をむち打ってから、ゆるしてやることにしよう」

 ピラトは総督として優秀な人であり、統治するのがむずかしい、ユダヤ人のいる所に任命されて送り込まれた人物です。ですから、ピラトはできるだけ公正な裁判をしようと心がけたものと思われます。そこで、ユダヤ人の祭りには、ひとりの囚人をピラトがゆるしてやることになっていたので、その慣例により、イエスをゆるそうとしたのです。ところが、民衆はこう言ったのです。「その人を殺せ。バラバをゆるしてくれ」民衆に人気のあるバラバをゆるせと、彼らは叫んだのです。ピラトは、イエスをゆるしてやりたいと思って、もう一度、彼らに呼びかけました。しかし、民衆はこう言ったのです。「その人を殺せ。バラバをゆるしてくれ」ピラトは三度目に彼らにむかって言いました「この人は、いったいどんな悪事をしたのか。彼には死にあたる罪は全くみとめられない。だから、鞭打ってから、彼をゆるしてやることにしよう」ピラトの判決は、イエスさまを無罪にする判決でした。ところが、民衆は大声をあげて詰め寄り、イエスを十字架につけるように要求しました。そして、とうとうその声の方が勝ってしまいました。ピラトは、つい彼らの願どおりにするとこを決定しました。そして、バラバがその罪を許されることになりました。イエスさまの十字架によって、ゆるされた人、その人はバラバという人でした。

イエスさまがゴルゴダの丘で十字架にかられた時、ふたりの犯罪人が十字架につけられました。ふたりの犯罪人はイエスさまをののしり、こう言いました「あなたはキリストではないか。それなら、自分を救い、またわれわれも救ってみよ」ところが、ここで大きなことが起こりました。ひとりの犯罪人が悔い改めたのです。「おまえは同じ刑をうけていながら、神を畏れないのか。お互は自分のやった事のむくいを受けているのだから、こうなったのは当然だ。しかし、このかたは何も悪いことをしたのではない」そして、言いました「イエスよ、あなたが御国の権威をもっておいでになる時には、わたしを思い出してください」イエスさまは言われました「よく言っておくが、あなたはきょう、わたしと一緒にパラダイスにいるであろう」救いは一瞬です。この人は、死のまぎわにすくわれたのです。