2022、12、4      降誕節第2主日礼拝       牧師 川﨑善三

「大いなる光」                       イザヤ9:1~7

 預言者イザヤは、ユダ王国のアハズ王の時代にキリスの誕生を預言しました。その当時の時代は、どんな時代であったのでしょうか。「彼らはしえたげられ、飢えて国の中を経あるく、その飢えるとき怒りを放ち、自分たちの王、自分たちの神をのろい、かつその顔を天に向ける。また地を見ると、見よ、悩みと暗きと、苦しみのやみとがあり、彼らは暗黒に追いやられる」(イザヤ8:21、22)北イスラエル王国は、BC721年に、アッスリヤ帝国に滅ぼされます。そして、約140年後に、南ユダ王国もバビロン帝国に滅ばされてしまいますが、この時すでにアッスリヤの圧迫によって、極度の苦しみを経験していました。「彼らはしえたげられ、飢えて国の中を経あるく、その飢えるとき、怒りを放ち、自分たちの王、自分たちの神をのろい、かつその顔を天に向ける」アッスリヤの圧迫に苦しむ人々の憂えと悲しみが表されている言葉です。王をのろい、神をものろう信仰のない状態が、ユダ王国の状態でした。「また地を見ると、見よ、悩みと暗きと、苦しみのやみとがあり、彼らは暗黒に追いやられる」人々は、絶望の淵に追いやられ、ふるえおののくばかりの状態でした。しかし、イザヤはそのような状況にいる人々に信仰を持ち、神を見上げ、希望を持って待ち望むことを語るのです。「しかし、苦しみにあった地にも、やみがなくなる。さきにはゼブルンの地、ナフタリの地にはずかしめを与えられたが、後には海に至る道、ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤに光栄を与えられる」(イザヤ9:1)ゼブルンの地、ナフタリの地とはガリラヤ湖の西、または南西の方面を占めていた地で、エルサレムから見れば、国の北方にあたる地域でした。そして、アッスリヤの侵略によって最初に陥落した地域でした。最初に敗れたということで、はずかしめを受けたと思っていました。しかし、神さまは彼らのはずかしめを取り除いて下さると言うのです「ヨルダンの向こうの地、ガリラヤに光栄を与えられる」異邦人のガリラヤとは、ナフタリ地方の北の領域と示しています。この地域には、異邦人が数多く住んでいたので、「異邦人のガリラヤ」と言っているのです。ところが、この地域で救い主イエスが、一番最初に福音を宣べ伝えられたのです。「暗やみの中に歩んでいた民は、大いなる光をみた。暗黒の地に住んでいた人々の上に光が照った」(イザヤ9:2)主の御顔が隠されて、望みもなく愛のないやみの中を歩んでいた人々に、光が与えられると言うのです。やみが光になるのです。「光がやみの中で輝くのです。やみは光に勝つことはないのです」これは、主が与えて下さる希望であり、喜びであります。イザヤは預言します。それは、救い主イエス・キリストがあなたがたのところに来て下さるからであると言います。「ひとりのみどりごがわれわれのために生れた。ひとりの男の子がわれわれに与えられた」クリスマスは、御子キリストの誕生をお祝いすると共に、来るべき再臨のキリストを待ち望むときでもあります。                   「『しかり、わたしはすぐに来る』。アァメン、主イエスよ、きたりませ」(ヨハネ黙示録22:20)