2022、12、11      降誕節第3主日礼拝       牧師 川﨑善三

「先駆者ヨハネ」                     ルカ1:5~19

パウロの同労者である医者ルカが、ルカ福音書を書きました。彼はユタヤ人ではなく、異邦人であり、異邦人の視点から救い主イエスについて物語る人でした。その特徴は異邦人に呼んでもらうためでした。テオピロと言う人もユダヤ人ではありませんが、イエス・キリストについて知りたい、教えてもらいたいという願を持っていたと思われます。この書の特徴をいくつかあげてみましょう。①万人救済について述べられています。神に選ばれたイスラエルの民の救いについては、勿論のこと、異邦人の救い、すべて信じる者に与えられる神の救いについて述べています。これは、異邦人への伝道に力を注いだパウロの影響があるものと思われます。②イエスさまが祈っておられたという証言が数多く出てまいります。イエスさまが祈祷の人であったということです。③他に、罪人に対する愛、婦人についての記事、人類愛について強調されているのが、ルカ福音書の特徴です。著作の時期は、紀元60年頃と思われますが、すでにマタイ、マルコ福音書は書かれていました。

ルカは冒頭でこのように語ります「わたしたちの間に成就された出来事を、最初から親しく見た人々であって、御言に仕えた人々が伝えたとおり物語に書き連ねようと多くの人が手をつけましたが」イエス・キリストの物語を書こうとして、多くの人が試みましたが、そのすべたてが完成したわけではありません。その多くが未完に終わり、ただマテイ福音書、マルコ福音書が完成していると、ルカは言っているのです。そして、彼はバプテスマのヨハネの誕生から、その物語を語り始めるのです。「ユダヤの王ヘロデの世に、アビヤの組の祭司で、名をザカリヤという者がいた。その妻はアロン家の娘のひとりで名をエリザベツと言った」ユダヤの王ヘロデとは、イエスさまがお生まれになった時の王で、ヘロデ大王とも言われ、エルサレムの神殿を46年の長きにわたって、再建した人でした。

ヘロデ大王の時代に、祭司ザカリヤとその妻エリザベツがいました。アビヤの組が、神の聖所での当番となり、慣例にしたがってくじを引いてところ、ザカリヤが聖所に入って香をたくことになりました。ザカリヤが香をたいている間、民衆はみな外で祈っていました。すると、香壇の右に天の使が現れました。ザカリヤはこれを見て、おじ惑い、恐怖の念に襲われました。だれもが、びっくりするようなことが起こったのです。ましてや、「神のみまえにあって、落ち度なく行っていた」ザカリヤにとって、いったい何事か、自分に何か落ち度があったのかと恐れるのも当然です。ところが、御使いーの言葉は意外なものでした「恐れるな、ザカリヤよ、あなたの祈りが聞き入れられたのだ。あなたの妻エリザベツは男の子を産むであろう。その名をヨハネと名付けなさい」天の使は日ごろの祈りが聞かれたと言っているようです。「彼は、父の心を子に向けさせ」親と子の愛情が冷却し、正しい関係が失われている社会を正しくすると言うのです。先駆者ヨハネは、愛のない世界に愛を取り戻すために来たのです。