2023、2、5      降誕節第7主日礼拝        牧師 川﨑善三

「ゲラサ人の地」                     ルカ8:22~39

 ある日のこと、イエスさまは弟子たちと共に舟に乗り込み、ガリラヤ湖の向こう岸に行こうと言われました。一同が船出すると、イエスさまは疲れておられたので、舟のともの方で横になり、眠ってしまわれました。しばらくの間、舟は順調に進みましたが、風が吹き始め、やがて湖は嵐のような状態になりました。弟子たちのうちの何人かは、ガリラヤ湖の漁師でしたので、最初のうちは心配ありませんでした。しかし、風はおさまらず、ますます激しくなり、湖は大荒れになり、水が舟の中に入ってきました。それからも、水がますます舟の中に入って来るので、弟子たちは水を書き出すのに、逸しよう賢明でした。状態は、ますます悪くなり、いつ沈んでもおかしくないような状態になったので、弟子たちは、イエスさまをゆり起こして言いました「先生、先生、わたしたちは死にそうです」。イエスさまは嵐に関しては何の気にとめず、起き上がって、こう言われました「静まれ、黙れ」すると、風と荒浪とが、たちまち静まり、大なぎになってしまいました。イエスさまは、弟子たちに言われました「あなたがたの信仰は、どこにあるのか」イエスさまが、同じ舟の中におられるのに、沈むはずはないという信仰を持つことができないのかと、イエスさまは言われたのです。私たちも弟子たちと同じように、あわてふためいて、イエスさまを起しに行くことでしょう。弟子たちは恐れ驚いて言いました「いったい、このかたはだれだろう。お命じになると、風も水も従うとは」。このような不思議な体験をしたあとで、弟子たちは次の奇跡を目にすることになるのです。

 「それから、彼らはガリラヤの対岸、ゲラサ人の地に渡った」(ルカ8:26)

イエスさまは、ゲラサ人の地に着くと、舟からおりられると、その町の人で悪霊にとりつかれ、家にいつかないで墓場に住んでいる、ひとりの人に出会われました。

イエスさまは、この人に「悪霊よ、その人から出ていけ」と言われました。すると、その人はイエスさまのみまえにひれ伏し、大声で言いました「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。お願いです。わたしを苦しめないで下さい」悪霊どもが、消えることのない火の中に投げいれられるのは、まだ先のことですから、今、わたしたちをこの人から追い出すのは、お許しくださいと言ったのです。イエスさまは、その人に「なんという名前か」と尋ねられると、その人は「レギオンと言います」と答えました。そして、悪霊どもは「底知れぬ所に落ちていくことを、自分たちにお命じにならぬように」と、イエスさまに願いつづけました。そして、その山べにいるおびただしい豚の群れに入ることを許していただきたいとお願いしました。イエスさまは、それをお許しになりました。そこで、悪霊どもはその人から出て、豚の中に入り込みました。おどろいたのは、豚の方です。悪霊どもが中に入ってきたので、豚はなだれを打ってがけを駆け下り、湖に落ちて、おぼれ死んでしまいました。この出来事を見て、ゲラサ地方の人々は自分たちの所から立ち去ってくださるようにと、イエスさまに言いました。イエスさまを喜んで迎える人と、そうでない人がいるのです。