2023、4、2       受難節第6主日礼拝        牧師 川﨑善三

「十字架」                        ルカ23:32~49

 イエスさまがゲッセマネの園で捕えられ、大祭司カヤパの家で裁判をうけ十字架につけられるまでの間、ルカ福音書はかなり詳しくその様子を私たちに伝えてくれています。

まず、イスカリオテのユダが、祭司長たちの家の者を手引きしてゲッセマネの園にやってきました。ユダはイエスさまに接吻し、この人がイエスだと他の者に教えます。それがイエスさまを捕える合図でした。イエスさまはユダに「あなたは接吻をもって人の子を裏切るのか」と言われました。イエスさまは、ユダが心を入れ替えて裏切ることをやめるよう、最後の最後まで、彼に語りかけて下さったのです。この時、イエスさまのそばにいた弟子のひとりが祭司長の僕に切りつけ、その右の耳を切り落としました。イエスさまはこれに対して、その人に言われました「それだけでやめなさい」そして、その僕の耳に手をふれ、すぐにおいやしになりました。それから、人々はイエスを捕えて大祭司の家に連れていきました。この時、ペテロは遠くからついて行き、大祭司の家に入り、中庭の真ん中で火を焚いている人々の中に混じって、事のなりゆきを確かめようとしていました。この時、ペテロはイエスさまを三度知らないと言ってしまうのです。イエスさまの裁判は不当なものでした。偽証するものが、次から次へと出てきて訴えましたが、どれを取っても、イエスさまの有罪を立証できる証言はありませんでした。遂に、大祭司自身が、イエスさまに問いかけて言いました「あなたは神の子キリストなのかどうか、生ける神に誓ってわれわれに答えよ」(マタイ26:63)イエスさまは大祭司に答えて、言われました「あなたの言うとおりである。あなたがたは、間もなく、人の子が力ある者の右に座し、天の雲に乗ってくるのを見るであろう」大祭司は、その衣を裂いて言いました「彼は神を汚した。どうしてこれ以上、証人の必要があろうか」彼は死にあたると、みんなが口々に言いました。この時の裁判では、イエスさまの罪状は冒涜罪という罪でした。自分を神の子キリストだと言ったことが死刑に値すると言うのです。それから、ユダヤ人は、イエスさまをローマ総督ピラトのもとに送りました。ピラトは「この人にはなんの罪もない。だから、むち打ってから、ゆるしてやることにしよう」ところが、祭司長たちに買収されていた民衆は一斉に叫んで言いました「その人を殺せ。バラバをゆるしてくれ」。ピラトは彼らの叫びに負けてしまいました。イエスさまを彼らに引き渡し、その意のままにまかせました。

イエスさまは十字架の上で祈って下さいました。「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」このイエスさまのとりなしの祈りによって、私たちの罪はゆるされているのです。感謝いたしましょう。