2023、7、16     聖霊降臨節第8主日礼拝     牧師 川﨑善三

「キリストの心」                     ルカ7:36~50

「あるパリサイ人がイエスに、食事を共にしたいと申し出たので、そのパリサイ人の家にはいって食卓につかれた」このパリサイ人は、名をシモンと言いました。イエスさまが食卓についておられると、この町で罪の女と言われている、ひとりの女性がやってきました。

この女は泣きながら、イエスさまの所にやってきました。彼女は涙でイエスさまの足をぬらし、自分の髪の毛でイエスさまの足をぬぐい、その足に接吻して、香油を塗りました。シモンはこの時、心の中でこう思いました「イエスさまはこの女のなすがままにしておられるが、もし、イエスさまが預言者なら、自分にさわっている女が、どんな女かわかるはずだ」旧約の預言者は人々の罪を指摘し、悔い改めを迫りました。だから、イエスさまが預言者であるなら、この女にまず悔い改めよと言われるはずだと、シモンは思ったのです。しかし、イエスさまはシモンに言われました「シモン、あなたに言うことがある」彼は「先生、おっしゃってください」と言いました。イエスさまは彼に言われました「ある金貸しに金をかりた人がふたりいました。ひとりは500デナリ、もうひとりは50デナリを借りていました。ところが、ふたりとも、その借金を返すことができなかったので、金貸しはふたり共ゆるしてやりました。このふたりのうち、どちらがこの金貸しを多く愛するだろうか」シモンは答えて言いました「多くゆるしてもらったほうだと思います」すると、イエスさまは言われました「あなたの判断は正しい」それから女の方に振り向いて、シモンに言われました「この女のしたことをごらんなさい。わたしがあなたの家にはいってきた時に、あなたは足を洗う水をくれなかった。ところが、この女は涙でわたしの足をぬらし、髪の毛でふいてくれた。あなたはわたしに接吻してくれなかったが、彼女は家にはいったとき時から、わたしの足に接吻してやまなかった。あなたはわたしの頭に油を塗ってくれなかったが、彼女はわたしの足に香油を塗ってくれた。それであなたに言うが、この女は多く愛したから、その多くの罪はゆるされているのである。少しだけゆるされた者は、少しだけしか愛さない」そして女に言われました「あなたの罪はゆるされた」。

 多くの罪をゆるされている者は、多く愛する。少しだけしかゆるされていると思っている者は、少しだけしか愛さない。「罪の女」は、自分の罪深さを知っていました。しかし、その多くの罪は、イエスさまによってゆるされると信じていました。だから、彼女は力いっぱいの愛をもってイエスさまを愛したのです。パリサイ人シモンは、自分の罪はそれほど大きなものではないと思っていました。だから、彼はイエスさまに対しての礼儀をわきまえず、少しだけしか愛さなかったのです。「たとい、わたしの言うことを聞いてそれを守らない人があっても、わたしはその人をさばかない。わたしがきたのは、この世をさばくためではなく、この世を救うためである」(ヨハネ12:47)イエスさまは、わたしたちを救うためにこの世に来てくださったのです。