2025、2、2 降誕節第6主日礼拝 牧師 川﨑善三
「この多くの物は皆、主のもの」 歴代志上29:10~19
私たちは、何をもって、心のよりどころとするでしょうか。ある人にとっては、家族が心のよりどころとなっているかも知れません。ある人は、富や財産が心のよりどころであるかも知れません。私たちが、どういう事に関心を持っているかによって、その人の生き方と言うものが変わって来ます。今日の聖書箇所は、ダビデと言う人が何を大事にしていたかが示されている所であります。ダビデは、都エルサレムに、神の家を建てようと言う願いを持ちました。「見よ、わたしは香柏の家に住んでいるが、主の契約の箱は天幕のうちにある」(歴代志上17:1)神の臨在は、神の契約の箱と共にありました。契約の箱は、長い間、シロという町にありましたが、ダビデが王となり、エルサレムに契約の箱をかつぎ上りました。ところが、ダビデが香柏の家に住むようになった時、彼は契約の箱が天幕の中にあることに気が付きました。ダビデは、神の家を建てようという願いを起こされ、そのことを預言者ナタンに打ち明けました。ナタンは言いました「神があなたとともにおられるから、すべてあなたの心にあるところを行いなさい」(歴代志上17:2)すべての事柄に、「旬の時」と言うものがあります。秋は、秋刀魚、柿、栗と言ったようなものが、旬であります。それと同じように人間にも「旬の時」があるように思います。ダビデも最も脂の乗り切っている時期が、この時期であつたのではないでしょうか。その事を預言者ナタンは見越して、言ったのです。「神があなたと共におられるから、すべてあなたの心にあるところを行いなさい」ところが、その夜のことです。神のことばがナタンに臨みました。「わたしの住む家を建ててはならない。わたしが、イスラエルのさばきづかさのひとりに、ひと言でも、どうしてあなたがたは、わたしのために香柏の家を建てないのかと言ったことがあろうか」(歴代志上17:6)この神さまの言葉を聞いて、ダビテは自分の代に神の家を建てることを断念しました。そして、彼は、わが子ソロモンに神の家を建てさせようとして、資材を準備しました。それは、おびただしいほどの金、銀、鉄、さまざまの宝石、大理石、財宝をささげました。また、氏族の長、イスラエルの部族のつかさたちも、王にならって、喜んでささげ物をしました。それからダビテは全会衆の前で主をほめたたえて言いました「われわれの神、主よ、あなたの聖なる名のために、あなたに家を建てようとしてわれわれが備えたこの多くの物は、皆あなたの手から出たもの、また皆あなたのものです」(歴代志上29:16)ダビデは、おびただしい財宝をささげるにあたり、誇っているのではありません。これらの物は、皆あなたからいただいた物ですと言い、へりくだっているのであります。ダビデが、そのような心になること自体が、神の家を建てる目的の大部分が達成されているとみることができます。「神の受けられるいけにえは砕けた魂です。神よ、あなたは砕けた悔いた心をかろしめられません」(詩編51:17)神さまに対して、へりくだるやわらかな心、そのような心に新しい霊が宿ります。そして、新しい神殿となるのであります。
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